アルスラーン戦記 は人気作家・田中芳樹原作の中世の中東風の異世界を舞台に、戦乱の世を『鋼の錬金術師』『銀の匙』の荒川弘が漫画にした作品です。
その壮大な世界観と人情味あふれる人間ドラマは読む人の心を奪い、誰もが夢中になって読み進めてしまいます。
しかし壮大な世界観を楽しむ反面、日常世界とは違った用語や価値観が出てくるので、入っていけない人がいるのも事実です。「これって何だっけ?」となりページを戻ったり読むのが遅くなってしまいます。
そこで、アルスラーン戦記を読む前に、事前に『パルス』を始めとしたその世界や、1話に入る前までの情勢・ストーリーを解説していきます。
これは決してネタバレではなく、ハリー・ポッターで言う所の『魔法』や『イギリス』の常識を解説する様なものです。
世界観を理解し、よりアルスラーン戦記を楽しんで下さい。
物語は主人公・王太子アルスラーンが11歳の時。『パルス国』と『ルシタニア国』の争いから始まります。その少し前は、どんな話だったのでしょう。
アルスラーン戦記 の世界の地図とパルス国情勢

上下に海があり、左右を国々で挟まされた大きな国『パルス王国』と敵国・ルシタニア国との乱戦を描いた作品です。

パルス王国は、王都エクタバーナを中心に大陸公路の先にあるペシャワール城塞まで続く大きな国でした。
パルスの王は元々オスロエス五世が即位していたが、病にかかり亡くなり、息子であるヒルメスも焼死。オスロエス五世の弟であるアンドラゴラス三世が即位した。
(噂では、アンドラゴラスとオスロエス五世の兄弟との間に妻を巡り何かあったのでは…?)
そうしてパルス王国はアンドラゴラス政権の元、戦に出ては連戦連勝。パルス王国は盤石となった。
2パルス軍の役職
【国王(シャーオ)】
アンドラゴラス三世

描かれている中でも42万の兵力を持った大軍パルス軍のトップである『アンドラゴラス三世』は44歳にして歴戦の勇者。王位につく前の大将軍時代から功績を上げている。妻はタハミーネ。
アンドラゴラスが指揮するパルス軍が、パルスの領土『マルヤム』に侵入してきたルシタニア軍を撃退し、城に戻ってくる所から物語が始まる。
天空に太陽はふたつなく
地上にシャーオ(国王)はただひとり
それがパルスの掟である。
【大将軍(エーラーン)】
ヴァフリーズ

エーラーンは国王の1つ下の役職でパルス軍のトップ。アンドラゴラス三世の腹心であり、アンドラゴラスの子『アルスラーン』の教育係も務める老将。
更に、甥であるダリューンも強者であり、教育が得意な人物。
【12人の万騎長(マンズバーン)】※順不同
大将軍の下の位に位置し、1万の兵を持つ『万騎長』は12人。それぞれが歴戦の猛者である。
1、カーラーン

諜報の名手であり、アンドラゴラスも信頼を寄せる名将。痩せたちょび髭がトレードマーク。
2、クバード

大剣を操る怪力万騎長。隻眼で左目に傷跡がついている。本人は三頭竜と戦った時の傷だと豪語しているが、ほら吹きのキャラクターなので信用できない。かなりの酒豪で、名誉よりも酒と戦いを好む無法者だが、心優しい一面もある。
3、キシュワード

代々王家に仕えてきた武門の出だが、偉そうにはせず実直な性格でアンドラゴラス王に忠誠を捧げる人物。2つの剣を使う『双刀将軍(ターヒール)』という異名を持ち、万騎長の中でも国民人気が高い。2羽の鷹を飼っており、それが縁でアンドラゴラスの息子、アルスラーン王太子とも仲が良い。
物語が始まる時点では、ペシャワール城塞の守備の任についている。
4、ダリューン

27歳の最年少 万騎長。黒い甲冑と深紅の裏地の黒マントが特徴で、実力はパルス国の中でも5本の指に入ると言われている。『戦士の中の戦士』(マルダーンフ・マルダーン)と呼ばれ、実直で質実剛健な武人。
5、バフマン

62歳の最年長 万騎長。大将軍ヴァフリーズとは同世代の戦友であり、兵団の士気統率にかけては右に出るものはいない。
物語が始まる時点では、ペシャワール城塞の守備の任についている。
6、サーム

城砦の工房に優れ、王都エクバターナの守備の任をする万騎長。前髪だけ白髪でもみあげが跳ねているのがトレードマーク。
7、シャプール

何よりも騎士道を大切にし、同じ万騎長の自由奔放なクバートとは度々対立する。パルスとエクタバーナを愛する勇敢な男。
8、ガルシャースフ

サームと同じく王都エクバターナの守備の任につく万騎長。速戦即決の優れてはいるがどこか冷淡な武将。
9、マヌーチェルフ(原作漫画未登場)
10、ハイル(原作漫画未登場)
11、クルプ(原作漫画未登場)
12、クシャエータ(原作漫画未登場)
マヌーチェルからクシャエータは2015年春に放送されたアニメのみで、原作漫画では未だに登場していないので割愛します。
それ以外にも
貴族(ワズルガーン)
自由民・一般市民(アーザート)
奴隷(ゴラーム)
などがいます。
【パルス王国とルシタニア王国の歴史】
物語が始まる5年前のパルス歴315年。
パルスは『トゥラーン』『シンドゥラ』『チュルク』の三国同盟の50万の大軍に攻め込まれた。

不敗のアンドラゴラス三世もこれには頭を抱え、王都エクバターナに国内の領主を集結させた。
この時、ダイラム地方の領主が、1兵も使わず舌先だけで50万の兵隊を追い払った。その人物がナルサス。その武功により、宮廷書記官として抜擢された。

こうしてパルス王国はどんどん勢力を拡大させていくのだが、これを許せなかったのが、ルシタニア国。
ルシタニア国は、イノケンティス七世国王と大司教・ボダンを中心に、唯一絶対の神・イアルダボートを熱心に信仰する国。


彼らの目的は、異教徒であるパルス国民を滅ぼし、パルス国に使える奴隷を解放し、イアルダボート教へ改宗を進める事。
その為ルシタニア軍はパルス国を攻めるも、幾度となくアンドラゴラス王に返り討ちにされる。アンドラゴラス軍は歴代パルス国の中でも最強の不敗の軍。簡単には攻略する事は出来ない。
そんな中、ルシタニア軍の味方になった人物がいた。
銀仮面をかぶる『銀仮面卿』と名乗る人物だった。

ここから第一話に繋がります
全く主人公のアルスラーンは出てこないでしょう。
なぜならアルスラーンはこの時、11歳になる前の訓練を積んでいる最中だからです。
ここから1話を読めば、よりアルスラーン戦記が楽しめる事でしょう。
勿論、アルスラーン戦記を見た事がある人も、振り返って歴史を整理する事ができると思います。
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