みなさんは、世界初の長編アニメーション映画が何かご存知ですか?
それは1937年にウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが製作した「白雪姫」なんだそうです。
この映画の有名シーンのひとつに、毒リンゴを食べて倒れてしまった白雪姫に、王子がキスをするというものがあります。
震える王子
実はこのシーンの直前、王子が横たわる白雪姫に近づき、立ち止まる場面があるのですが、この時わずかに王子が震えるように見えるのだそうです。
実際、動画サイトで確認したところ、言われて初めて気づくレベルですが、確かに震えているのがわかります。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm5750397
なぜ王子は震えているんでしょうか?
もちろん王子がキスするのに緊張して震えているというわけではありません。
ウォルトの兄 ロイ・ディズニー
これにはある人物の一言が関係しています。
その人物の名は ロイ・O・ディズニー。

彼はウォルト・ディズニーの実の兄であり、ウォルト・ディズニー・カンパニーを経営の面で貢献してきた人物です。
冒頭にも述べた通り、世界初の長編アニメ映画の「白雪姫」は、ディズニーにとっても初の長編アニメとなります。
それまでは1本3万ドルで短編を作っていましたが、長編の「白雪姫」で投入した予算は150万ドルとおよそ50倍にもなったそうです。
ロイはこの作品でも資金繰りに奔走していました。
王子なんか震えてりゃいい
ロイがお金の工面をしている一方、ウォルトは作品にこだわるあまり、なかなか仕事が進まなかったそうです。
プレミア上映までの期限に作品が間に合うかどうか危うくなった頃、ロイは例の王子のキスシーンが気になったそうで、当時の事を語っています。
「物語の終わりか、終わりに近いあたりで、王子が白雪姫キスし、白雪姫が生き返る場面がある。王子が白雪姫の横たわる棺に近づくと、撮影の問題で画面がブレて、王子が震えて見えた。
ディズニー伝説 天才と賢兄の企業創造物語 日経BP社
このことから、王子が震えている原因は技術的な問題だったことがわかります。
そこでロイは弟に指摘します。
少し気になったので、ウォルトにそこを手直しした方がいいのではないかと言った。
ディズニー伝説 天才と賢兄の企業創造物語 日経BP社
するとウォルトはこう答えたそうです。
『結構。ぜひ作り直したい。ずっと考えていたのだが、25万ドルから30万ドルぐらいかかる。なんとかなるのか。それなら、喜んで作り直す』
ディズニー伝説 天才と賢兄の企業創造物語 日経BP社
ウォルトも気になっていたんですね。
しかし、あまりに高額な修正費用を口にしたウォルトにロイは一言、こう言い放ったそうです。
冗談言うな。王子なんか震えてりゃいい
ディズニー伝説 天才と賢兄の企業創造物語 日経BP社
それ以来、ずっと王子は震え続けているのだとか。
王子が震えている原因は予算と時間が関係していたんですね。