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【誤解を恐れず書いていく】新しい音楽の楽しみ方を教えてくれるバンド、「 the band apart 」を知ってるか?

皆さん、「 the band apart (ザ・バンドアパート)」というバンドをご存知でしょうか?

the band apart

テレビにはほとんど出ていませんし、活躍の場は主に音楽フェス。

今が旬の新人でもなく、大手に属さずインディーズで活動を続けるベテランバンドです。

ただ、このバンドがめちゃめちゃいい!

多くのバンドマンからリスペクトを集めるミュージシャンズ・ミュージシャンといった感じのバンドです。

そして、この「 the band apart 」。誤解を恐れずに言えば、音楽に対するあなたの価値観をガラッと変えてしまうかもしれない「新しい音楽の楽しみ方を教えてくれるバンド」でもあるのです。

一体どういうことなのか?お時間がある方は是非お付き合いください。

まず最初に、「 the band apart 」とは

「 the band apart 」(通称バンアパ)とは、1998年から活動を続ける日本の4人組ロックバンドです。

“ロックに限らず、ヘヴィメタ、メロコア、フュージョン、ソウル、ジャズ、ボサノヴァなど、様々なジャンルの音楽を独自に消化、吸収したサウンドが持ち味”

と、バンアパを語る際、よくこんな感じで説明されるわけなんですが、正直「音楽詳しくないからそんなこと言われてもよくわかんねぇよ」と思った方がほとんどだと思います。なので、ここは誤解を恐れず大雑把に説明してみることにします。

「 the band apart 」とは、

「庵野秀明っぽい人と一緒にオシャレな音楽をやっている、演奏が上手い無骨なおじさんバンド」です。

「庵野秀明?エヴァの?」と思った方もいるかもしれませんが、ひとまずそれは置いておきましょう。

オシャレなバンドといってパッと頭に浮かぶのは、

「Official髭男dism」「King Gnu」「Nulbarich」「Suchmos」

といったところでしょうか。強いてカテゴライズするならばこれらのバンドと同じジャンル。また誤解を恐れずに言えば、これらの系譜の祖ともいえるかもしれません。

ただ、見た目はオシャレではありません。

なんというか、職人肌無骨。それが良さでもあるのですが。

まあ百聞は一見に如かず。どんなバンドなのか、YouTubeで見てみましょう。

the band apart / ZION TOWN 【MV】

こんなバンドです。

ロックっちゃロックだけど、ロックと言われるとなんか違う気がする。

でも、なんかオシャレっぽい音楽なのは分かる。そんな印象だったと思います。

ざっくりではありましたが、どんなバンドなのかお分かりいただけたと思います。

しかしながら、このバンドの何が「新しい音楽の楽しみ方」を教えてくれるのか?まだピンときていないことと思われます。なので、それをこれからご説明させていただきます。

バンアパは異常に演奏がうまい

バンアパの良さを語るうえで欠かせないのが、その“演奏技術の高さ”です。

これが、「新しい音楽の楽しみ方」を教えてくれるという要素の1つになります。

バンアパのメンバーと、その楽器編成は、

ボーカル&ギター荒井 岳史(あらいたけし)

ギター川崎 亘一(かわさき こういち)

ベース原 昌和(はら まさかず)

ドラム木暮 栄一(こぐれ えいいち)

という形。そして、この4人全員が、素人目でも分かるくらいに演奏が上手い。

「プロなんだから当たり前だろ」と思ってしまうかもしれませんが、それを前提としてもやはり「うまいっ!」と唸ってしまう理由がちゃんとあるのです。

「左手が凄いことになってますよ」/ギター:川崎 亘一

まず初めに、ギターの川崎亘一さんをご紹介しましょう。

役割としては“リードギター”、曲のメロディ部分を主に担当しています。先ほどMVで見ていただいた「ZION TOWN」のイントロなどが、川崎さんが担当するパートになります。

このフレーズがとにかく気持ちいい。

個人的にではありますが、“演奏が上手い”という表現の中には、単純に“演奏の技術が上手い”というだけではなく、“今まで聞いたことがないメロディを演奏している”というニュアンスも少なからず含まれていると思っています。川崎さんのギターにはその両方が備わっていて、とにかく聞き心地がいいのです。

この聞き心地の良さは先ほどのMVで体感できたかと思います。ただ、MVではアングルが頻繁に切り替わり、そのテクニックの全貌を把握することが難しくなっていたと思いますので、それに関してはこちらの動画をご覧になって下さい。

the band apart 「Eric.W」(川崎亘一ギター・パート):ギター・マガジン2018年11月号

これは2018年に「ギターマガジン」で行われたもので、バンアパメンバーそれぞれの演奏をカメラに収めてみました、というような動画企画です。

見ていただけましたか?イントロ後のAメロから、指がもう凄いことになっていますよね?まるで木の枝を登る蟹のよう。「よくその形で弦を押さえられるよな・・・」そんな感じです。

そして圧巻なのはサビに突入する2:55から。とにかく速いし指が動き過ぎ。まるで獲物に糸を巻きつける蜘蛛のよう。この「蟹」「蜘蛛」という表現が、川崎さんの上手さを的確に表せているかどうかは置いといて、左手が蟹や蜘蛛のようにうねうねと動くギタリスト、見たことありますか?しかも、当たり前のように淡々と弾きこなしている。思わず「うまいっ!」と唸ってしまいそうになったはずです。

「ボーカルなのにギター弾きすぎ」/ボーカル&ギター:荒井 岳史

次にお話したいのが、ボーカル&ギターの荒井さんについてです。

バンドの顔であるボーカルでありながら、そのギターテクニックがえげつない

役割としてはサイドギター、主にコード部分を担当しているのですが、とても歌いながら弾いているとは思えないほどの、複雑なフレーズを弾きまくっているのです。

どんなフレーズを弾いているのか?まずはこちらの動画をご覧ください。

the band apart 「Eric.W」(荒井岳史ギター・パート):ギター・マガジン2018年11月号

弦を押さえる左手がせわしなく動いているのがお分かりになったと思います。

そして、同じ曲を歌いながら弾いている様子がこちらです。

the band apart が登場・フェスTV 音楽ライブ《前編》
【Festival TV on KEENSTREAM 1周年特番】
※「Eric.W」(15:26~)/荒井の歌唱&演奏(17:40~)

よくよく考えてみると、歌いながらギターを弾くって難しい。

右手を激しくかき鳴らすギターボーカルはわりとよく見かけますが、荒井さんのように弦を押さえる左手がこんなにもせわしなく動きまくっているボーカルは非常にレアなのではないでしょうか?

また、バンアパの曲を聴いた際、「あっ、今のギターのフレーズえげつないな。どうやって弾いてるんだろ?」と思って動画を見てみたら、それを弾いていたのはギターではなくボーカルの方だった。なんてことが何度も起こる、そんな超絶テクを持ったギターボーカルです。

「ベースがもはや主旋律」/ベース:原 昌和

続いてお話ししたいのが、ベースの原昌和さん

早速ですが、先に演奏の様子を見ていきましょう。

the band apart「Eric.W」(原昌和ベース・パート):ギター・マガジン2018年11月号

「庵野秀明監督が美脚を見せつけて何をやっているんだ?」と思ったかもしれませんが、彼がバンアパのベーシスト・原 昌和さんです。バンアパの楽曲をまとめる監督的な役割を担っている、楽曲製作の重要人物です。

第一印象は「キャラ濃いな~」だったかもしれませんが、イントロに入ったあとのベースラインの鮮やかさに圧倒されてしまいます。「あれっ?ベースってこんなにゴリゴリと前に前に出てくる楽器だったっけ?」。ベースの概念を覆すような強烈な存在感。そして、そのフレーズがもう主旋律のような、そんな満足感を与えるメロディを奏でてくれます。

そんな原さんの魅力が最高に発揮されているのが、とあるライブで披露した「waiting」という楽曲

めちゃめちゃ楽しそうにベースを弾いています。そして、極みつけはラストの演出

ベースだけなのにどうしてこんなに聞きごたえがあるのかただただカッコ良すぎます

「腕4本くらいないとこんなに音鳴らんでしょ」/ドラム:木暮栄一

そして、最後に紹介するのがドラムの木暮栄一さん

小暮さんはとにかく手数が多い。絶えず何かしらドラムの音が鳴っていて、「これ、腕4本くらいないとそんなに音鳴らんでしょ」と思ってしまうくらいの手数を感じます。

そんな小暮さんの手数の多さがわかる動画がこちら。

the band apart 銀猫街1丁目 MV

めちゃめちゃ激しい。ラストのサビからアウトロにかけては圧巻

「腕2本だけでこんなに音が鳴るんだ」。

そしてパターンも多い。

the band apart「Eric.W」(木暮栄一ドラム・パート):ギター・マガジン2018年11月号

4つ打ちのディスコっぽいリズムからラテンのリズムに一変するところなんか最高です。

そんな4人の演奏が、それぞれちゃんと聞こえるのがスゴイ

「バンアパは演奏が上手い」と何度も言ってきましたが、正直、演奏が上手いバンドは他にもたくさんいます。ただ、バンアパがスゴイのは、「4人の演奏がそれぞれぞれちゃんと耳に入ってくる」というところにあります。

the band apart / ピルグリム【MV】 (※イヤホン推奨)

【「ベースがもはや主旋律」/ベース:原昌和】の章でお話しましたが、バンアパは歌唱部分だけでなく、楽器が奏でるメロディも主旋律として成立しています。

誤解を恐れずに言えば、ベースだけでなく、リードギター、サイドギター、ドラム、すべての楽器が主旋律として成立している。だからこそ、「4人の演奏がそれぞれちゃんと耳に入って来る」のです。

the band apart – kirigaharetara[Official Music Video](インスト曲)

おそらく、バンアパはそのあたりを意識して楽曲を制作しているのではないでしょうか?

それぞれが主旋律であり、お互い潰しあうことなく自然に存在している

これが最初に言った、「新しい音楽の楽しみ方」に繋がっていくのです

今まで、ボーカルの歌唱部分を楽しんできましたよね?

音楽を聴いていて、主に耳で追う部分はボーカルが歌う歌詞の部分つまり主旋律です

多くの人はこの主旋律のメロディを中心に音楽を楽しんでいると思われます。

これは逆を言えば、「多くの人は楽曲の主旋律しか聞いていない」とも言えます。

自分が好きなあの曲。サビのベースラインってどんなだったっけ?

思い出せる人は少ないのではないでしょうか?

しかし、バンアパに出会うとその楽しみ方はガラリと変わります

なんせすべての楽器が主旋律といっても過言ではないのですから、①ボーカルの歌唱部分、②リードギター、③サイドギター、④ベース、⑤ドラム、と、5つの主旋律が楽しめる。つまり、楽しさが5倍になるというわけです。

また、実際にこの聞き方をした場合、その楽しさは5倍どころではありません。

「ベースラインを中心に聞いてたけど、途中でギターのカッコいいフレーズに気を取られて、あそこのベースラインを聞きそびれちゃった。もう一回聞こう」「うわー、今度はベースに気を取られえれてギターの方聞きそびれちゃった!もう一回聞こう」「ドラムもいいじゃん、もう一回聞こう!」なんてことがよく起こります。

そうなるともう無限ループです。楽しさは無限大。一生飽ることはありません

「新しい音楽の楽しみ方」とは・・・

バンアパが教えてくれる「新しい音楽の楽しみ方」とは、

ボーカルが歌う主旋律だけでなく、それぞれの楽器の演奏にもしっかりと耳を傾けてみる”

ということ。

この文章だけ見てみると、多くの人が当たり前のようにやっていること”のように思えてしまうかもしれませんが、これが意外とやっていない。誤解を恐れずに言えば、そういう聞き方ができる音楽がほとんどない、とも言えます。

音楽の評価基準の9割は、主旋律と歌詞。好きなバンドがいても、ボーカル以外、顔と名前が一致しない、なんて人も多いのではないでしょうか?

“ボーカルが歌う主旋律だけでなく、それぞれの楽器の演奏にもしっかりと耳を傾けてみる”

そうすることで音楽の楽しみ方が無限大に広がっていきます

その聞き方をするのに最も適したバンドが「 the band apart 」

それを意識することなく自然と分からせてくれるのが「 the band apart 」というわけです。

「こんな楽しみ方もあったんだ」というキッカケになれば

正直、「 the band apart 」はキッカケで構いません

他にも素晴らしいバンドはたくさんいますし、そのバンドの演奏に衝撃を受け、音楽の沼にハマっていくのも大アリです。

この聞き方をすることで、今まで気がつかなかった音楽の素晴らしさにあらためて気づくことができた。そんな方が少しでもいてくれたら幸いです。

「最近、音楽聞いてないな。」「最近、いいバンドいないんだよな。」という方。

一度、「 the band apart 」を聞いてみてください

今回長々と書かせていただいた楽しみ方の他にも、お伝えしたい魅力が山のようにあります。

きっとバンアパの超絶テクニックで、あなたの琴線をかき鳴らしてくれるはず。

最近、バンアパもサブスクが解禁されたそうなので、利用されている方は是非!

AVECOBE [Official Music Video]

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