あなたはパソコンのOSに何を使っているだろうか?
OSで有名なのはウインドウズとマックだが、このどちらかを使っている方がほとんどだと思う。
Statcounter Global Statsが調べたところによると、2020年12月時点での日本のデスクトップOSシェアはウィンドウズが約70%、マックが約16%となっている。

ちなみにウインドウズは世界でも約77%のシェアを誇っている。
マイクロソフトが恐れた日の丸OSトロン
このウィンドウズを開発・販売するマイクロソフト社は、アメリカの巨大IT企業群GAFAMの一つであり、アメリカを代表する企業だ。
そのマイクロソフトが恐れを感じていたソフトが日本にあったのをご存知だろうか?
それが純日本製ソフトのトロン(TRON)である。
トロンは1984年、東京大学助教授だった坂村健氏が中心となって開発をスタートさせたOSで、当時競合していたマイクロソフトOSの性能を凌ぐ大変優秀なものだったといわれている。
トロンは日本語の処理能力に優れ、完成すれば世界最高速のパソコンになると言われていた。
しかもトロンは無償で公開されるため、このOSがグローバルスタンダードになっていた見込みは大いにあった。
国内大手コンピュータメーカーはトロンのポテンシャルを買い、こぞって日の丸OSを現実のもとのするため、1988年にはトロン協会を発足させていた。
マイクロソフト日本法人元社員の証言
このトロンが搭載されたパソコンが登場した時、マイクロソフトは危機感を抱いたという。
当時のマイクロソフト日本法人に在籍した元社員はこう証言する。
「トロンが普及すれば、過去の資産が無駄になり、他社と同じスタートラインに立つことになる。
何が何でもトロンをつぶせという指示が下った」
2004年6月『自由』より
アメリカの圧力によりトロンが潰れる
さらに、旧通商産業省と旧文部省が設立した財団法人コンピュータ教育開発センター(CEC)によって日本の学校教育にトロンをOSとするパソコンの導入が検討された際には、とうとう外圧から横槍が入った。
その外圧とはアメリカ通商代表部である。
1988年にスーパー301条で、「義務教育にトロンを導入するというのは政府による市場介入だ」として糾弾してきたのである。
アメリカに逆らえない日本政府は青くなり、結局CECはトロン採用を見送り、メーカーもこれをきっかけにトロンから手を引いてしまったのだ。
そして95年にはウインドウズがデビューして以降、パソコンOSの中心として現在の地位を築いてしまったのである。