2021年9月30日に東方映画チャンネルより『 シン・仮面ライダー 』プロモーション映像A・Bが公開されましたね。
そうです。見た通り『ほとんど一緒じゃん』という思いを持つ方も多いでしょう。確かに違いは、Bの方が若干…本当に若干アクションが多く、Aの方が仮面ライダーの顔にフォーカスを当ててミステリアスな要素を出している、といった感じでしょうか。
ですが、そんな事よりももっと驚く事があるのです。
この映像を見た時、“やけにアナログ回帰した映像だな”と思い色々調べた結果、とんでもない事が分かりました。
庵野秀明が作る仮面ライダーとは?
シン・仮面ライダー の制作記者会見で庵野秀明は、仮面ライダーの代名詞であるサイクロン号を披露し、50年前のサイクロン号のイメージを踏襲しつつ、(スタッフの山下いくと氏が)現代風に形にしてくれたと語りました。


このサイクロン号でもわかる通り、庵野秀明は シン・仮面ライダー を『現代と当時を融合させた』形で作りたいと語っている。
ノスタルジーだけではなく、新しいモノを入れてみたい。ノスタルジーは捨てたくないんですけど。50年前に自分が見ていたモノ、あの頃仮面ライダーを好きで見ていた人に(向けて)も作りたい。その頃生まれていない青年や子どもが見ても面白いと思えるモノを作りたい。
シン・仮面ライダー対庵野秀明展 合同記者会見より。
「なるほど。だから シン・仮面ライダーは昭和のテレビ映像っぽい色合いで変にCGを加えずやっているんだ」と一度は納得したのですが、当時の仮面ライダーのOPを見て驚きました。
初代仮面ライダーのOPをまるまる完コピした映像
プロモーション映像は1971年に放送された、初代仮面ライダーのOP映像を出来る限りコピーした、ほぼ一緒の映像なんです。
構図やカットの秒数、色味までほとんど一緒です。
これを見た時、思いました。
映画監督が、新たに作る作品で何かの映像を完コピする事なんてあっただろうか?
勿論これはシン・仮面ライダーな訳ですから、過去の仮面ライダーの映像通りに作っても構わないルールです。
だけど、同じ映像作る人なんている?変過ぎない?
という印象です。
庵野秀明は大の仮面ライダー好きで、エピソードを語らせたら止まらないどころか、安野モヨコとの結婚式では、仮面ライダーのコスプレで出席するほど。
だからこそ、仮面ライダーをこだわってまるまる完コピするに至ったのだろうが…。『現代と当時を融合させた』形で作りたいって言っていなかっただろうか?
リメイクする時、OPと同じ映像にするのは、映画監督のプライド的に気にならないのか?それよりもオタク心で完コピしたいが勝ったのかもしれません。
一体どんな経緯でそうなったのか、考えてみた。
今まで、シン・ゴジラ、シン・ウルトラマンのプロモーション映像はこちら。
普通に考えたらこうなりますよね。
カッコイイシーンを繋いでワクワク感・ドキドキ感を味わせてもらいたいものです。
でも、仮面ライダーのプロモーション映像はこれになりました。
発想が飛び過ぎていないでしょうか。
正直、AとBの2パターン作ったけど違いが全然無い事よりも、なぜ完コピにしたのかの方が気になります。
確かに完成形の映像を見たら、完コピする事がカッコ良いし、何も足さない潔さもあり、概ねYouTube上でのコメントも好意的である。
だが、打ち合わせの段階でプロモーション映像を完コピすると聞いた関係者はどう思ったのだろう?不安に思う人はいなかったのでしょうか?
それをねじ伏せてどうやって作ったのか、想像してみました。
プロデューサー「プロモーション映像を2021年9月30日に公開したいです」
庵野「OK」
プロデューサー「可能であれば、シン・仮面ライダーの魅力や、庵野監督が表現する世界を見せつつ、話題化が出来ればと思っています」
庵野「プロモーション映像なんだけど、初代仮面ライダーのOPをまんまやるのはどうかな?」
プロデューサー「あぁ、50年前より綺麗な映像と撮影技術の違いを見せるって事ですか?」
庵野「いや、まんま。色味とか映像のチープさもまんま」
プロデューサー「ん?あの迫力のある戦闘シーンとか登場シーンは使わず?」
庵野「うん。バイクに乗るだけ」
プロデューサー「ん?バイクに乗るだけ?」
庵野「初代のOPにクモ男が出てきたから、最後にクモ男だけ出す予定」
プロデューサー「…それは勿体なくない?」
庵野「同じ映像撮りたくて」
プロデューサー「池松くんと浜辺美波さんは出る?」
庵野「出ない」
プロデューサー「…もしかしてだけど、同じ映像完コピしたいだけだよね?」
という会話が想像できる。
おそらくイメージの共有が出来ないはずである。
シン・仮面ライダーの意図は?
プロデューサーを始めとした製作陣は、本郷猛役を演じる池松壮亮さん、ヒロイン緑川ルリ子役を演じる浜辺美波さんに出てほしいと思うし、事務所も悲願の筈である。
更に言えば、若い子にとっての仮面ライダーは、今のセイバーやゼロワンなど。
それらの子どもを取り込む事が出来る様な映像になるとは思えない…。
と、通常なら思うでしょう。
だが、それもこれも、全ては庵野秀明が監督をするから問題ないのだ。製作陣や関係者は、黙って庵野秀明を信頼する、という作戦を取ったのだ。
過去に色んな作品をリメイクしてきた庵野監督。
世間では知られていないが、少女漫画『彼氏彼女の事情』のアニメも庵野秀明が担当し、エヴァの様な世界観を作り上げ面白いアニメにしたほどだ。
一見無茶に見えるOP完コピ映像アイデアだが、現に、本当に面白そうなシン・仮面ライダーのプロモーション映像が完成した。
シン・ゴジラ、シン・ウルトラマンに次ぐシン・仮面ライダーも絶対面白くなるに違いないだろう。
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